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ちっちゃな、ひきこもりの自助会(奈良・大阪)

【寄稿】地元

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written by セミ◯

今から40年前に、ある定年退職した男性が息子に言った。「ここに家買うのどう?」。

時はバブル時代。人口が増加し、景気は右肩に上がる一方。承諾した息子はこの人工島に家を構えた。それから巨大なショッピングモール、映画館、外資系企業と様々な建物がシムシティのようにたやすく立ち並ぶ風景が小さな子供の眼前に広がった。

そして何十年か過ぎた。町は人口が減り、高齢化が進み、3件あったスーパーも撤退、映画館などは閉鎖し、ショッピングモールは人が全く見当たらない場所になった。

もっと地元が好きになれれば、どんだけ迷いがなくて済むのだろうと思う。島と本州をつなぐ電車が民営化し、運賃がバカ高くなったため、夏は汗だくになりながら冬は寒さに凍えながら自転車をこぎ本州にわたる。

また個人的な事情だが歴史が好きな人間が皮肉にも人工島という情緒の欠片も自然もないひたすら便利さと効率さを優先した町に生まれたので、非情に居心地が悪い。高齢者に優しい町は若者には不便だ。時折、自分が京都の和菓子職人の息子になった妄想でもしている。

本州へのアクセスが悪く、また住んでいる土地の歴史が他の関西地区と比べて浅いため、景色が本当につまらない。毎日毎日ジョギングで同じ工場のコンテナを見ていると発狂しそうになる。東大寺らへんや鴨川をランニングしている人を見ると心底うらやましくなる。

「では一人暮らしをすれば?」という意見をもらいそうだけど、金銭的な事や仕事なども含めてなかなか足が向かないのが情けないが、鬱々とした自分の現状である。

それなら逆にプラス面を考えようと思うのだが、海が近い事と大阪と京都にアクセスが近い事しかない。しかも大阪市内はCDショップくらいしか用がなくあまり興味もない。だから私が地元愛を持つためには方法が二つあるかもしれない。一つは地元のプラス面をもっと発見し地元を好きになる事、そしてもう一つは関西の首都を京都にし、人を京都や周辺の滋賀、奈良に移動させる事である。もしそんな公約を掲げる政治家が出てくれば私は3歳児の政治家が出馬しても投票すると思う。

このコラムは、セミ◯さんよりご寄稿いただきました。
”セミ◯と申します。「近畿、闇の奥」っていう一人雑談ブログやってます。”

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