Break

ちっちゃな、ひきこもりの自助会(奈良・大阪)

「支援施設があるにもかかわらず、なんで自助会があるのか?」――コネクションズおおさかさんにZoom講演会をさせていただきました

最新情報はツイッターをご覧ください。特に集まりがある日は頻繁に更新しています。
予定更新は開催予定よりもこのページ下部のGoogleカレンダーの方が早いです。

わたくしめ、誠に恐縮ながら、昨日(2/21)、「コネクションズおおさか」という、大阪市青年局のひきこもり支援施設の職員さん向けに、1時間半、ご依頼にもとづき、Zoom講演会をさせていただきました。
このページは、その記録です。
端折って申し上げたことを補足する意味もあります。
いかんせん、ひきこもり当事者であるアホアホ世話人の戯言にすぎませんのでご容赦くださいませm(_ _)m

スライド

コネクションズおおさかって?

一見、サポステみたいですが、もっと緩いです。
働くことに懸念があったり、慎重だったり、その気になれないが何とかしたいという方むけ。
大阪市民でなくても、15歳〜39歳の方を対象に無料で相談、利用できます。
全国的に知られる、東京の「NPO法人 育て上げネット」さんが運営されています。

public.sodateage.net

依頼内容:支援施設があるにもかかわらず、なんで自助会があるのか?について話して欲しい

ひきこもりの自助会なるものが世の中に存在する。
支援施設、支援機関に行かずに、そっちに好んで行く人がいたりする。
ひきこもりの自助会とはなんなのだろう。
普段、なにをしているのか。
どのようにして生まれるのか。
どんな価値があるのだろうか。

ひきこもりの自助会を当事者として利用したことがある職員が少ないため、ピンとこない。
一般的にいって、公共の支援施設の利用は限定的なのはどうしてかという、そもそもの疑問がある。

ひきこもりの自助会とはなにか?

すべてのひきこもりの自助会に当てはまるかというと、それは違うかもしれませんが、Breakはこうです。
世話人のわたくしめは、このように考えます。

学校が支援施設とすると、自助会はクラブ・サークル

学校嫌いのひとの選択肢のひとつ。
支援よりも居場所を求めている人の場。
支援は敷居が高いというひとの支援の入口(Breakは公的な組織と連携しています)。

支援施設と自助会は互いの不足を補いあう関係

社会的にみれば、機能が違うけれど、実はお互いの不足を補っている関係だと思います。
例えば、Breakは相談業務は苦手です(きほん、支援のプロはここにはいません)。
支援施設は相談業務が得意です(それが業務の一環です)。
だから、無理だなと思ったら、直接おつなぎしたり、代わりにきいて差し上げることがよくあります。
一方で、支援施設はいろんな制約があって居場所づくりが得意とはいえません(居場所づくりをする団体のサポートは得意でも、直接つくったり運営するの別)。
Breakは居場所づくりが得意です(それがやることの一環です)。
だから、居場所づくりの協力を求められることがあります。

自助会は息抜きの場

ひとりでいることがとても好きなら別ですが、ヒトは群れて進化してきた動物。
ひとりでずっといたり、ひとりで考え続けると堂々巡りで精神的に追い込まれてしまいがち。
いわゆる普通の大人がしているような、家族以外のひとと息抜きや楽しいことをすることで、その方の本来の力、パフォーマンスを発揮できる心の余裕ができると思うんです。
しかし、この家族以外の誰かと一緒にというのが、ひきこもっていると難しいものです。
多くのひきこもりにとって「ご職業は?」「いま何してるの?」といった悪意のない質問は恐怖です。
ひきこもっていることは恥であり、イイワケが難しいことであり、ひとに知られたくないことだから。
ひきもる過程で人間関係を断ってきた、新たに人間関係を作るといっても…という状況の方が多いと思います。
自助会は、ひきこもっていることを否定されず、気軽に付き合える誰かと一緒にというニーズに応えようとしています。

自助会に存在価値があるかどうかは、その方がどう思うか次第

自助会にどれだけ通っても、働いたり、就職には直接つながらないから自助会は不要。
あるいは、社会的にそんなレベルの低いひとたちと付き合っても、傷の舐めあいでしかなく、だから自助会は不要。
もっと生産的に、前向きにという方もおられます。
自助会は、少なくともBreakは、そういう方に向けてアピールはしません。
結局、なんだっていいのです。
それぞれが思うような社会参加につながったり、活躍できるところに到達できるならと思うので。
支援機関も同じでしょう。
※Breakは支援施設と組んで、履歴書なしで、それなりの額がいただける賃金労働の機会も若干ご提案しているので(ちょこっとワーク・なら)、一般的な自助会とはやや違う点があります。

ひきこもりの自助会や居場所には、それぞれの対象範囲がある

なぜひきこもっているのか、困難の理由は問いません。
ひきこもっているという状態を共通点として集まっています。
これが、例えば、発達障害の会や、アルコール依存症の会との違いであり、子育て中のお母さんの会と似ているところです。
そうすると、状態が同じひとは全員ウェルカムなのかというと、なかなかそれが難しいところです。
これは、世話人のわたくしめが、いい加減でヘボイからというのとはまた別の話しです。
自助会に限らず、ある程度のマンパワーや財政規模のある公的な居場所であっても同じであって、どういう方を主たる参加対象者に設定するかを居場所の運営者が選ばないと、こっちを立てれば、あっちが立たずということが頻繁に起こって継続や拡大がしづらなくなると思います。
また、ご参加者の満足度や定着率も上がらないということになるでしょう。
自助会や居場所には存在価値があると多くのひきこもりの方に思っていただくには、個々のそれらが特化して高めあるとともに、いろんなタイプのものが誕生し、継続運営されることではないでしょうか。
その点、Breakも参画している、奈良市社会福祉協議会のひきこもりや不登校等のかたの居場所「ねどこ」は、タイプ別に6つの団体・グループが個別に運営しつつ、協力しあっています。
これは一つのモデルだと思います。

どのようにして生まれるのかは、誕生の背景による

それなりの規模で、継続的にやっている自助会は、大都市を抱える関西でも、そんなにありません。
ネットでちょっと調べて出てくる以上にはありません。
Breakは、それらの幾つかと、ときどき行動を共にしています。
なぜ、それが出来るのかといえば、参加対象者が似ているからです。
しかし、誕生の経緯が同じかというと、そんなことはありません。
それぞれに個別の背景があって、必要と思うひとが中心になって誕生しています。
Breakの場合は「お昼です!」という小さな自助会(現在休眠中)からの派生です。
居場所の方針において代表の想定と参加者の希望にずれが生じ、それを埋めるためにもう一つの自助会として、わたくしめがBreakを作り、運営を任されました。
最初の半年ぐらいは月に1回か2回だけでしたが、どうせやるならと構想段階から「居場所、仕事、連携」を掲げて、大人のサークルという色合いで、支援施設やひきこもりに理解のある団体や個人とコラボレーションする形で、ご参加者が気軽に楽しく社会参加できる機会を作りつつ、可能性を追求できるようなプラットフォームを作ることを目指してきました(出来てませんが💦)。

なんで支援機関に行かないのか?

わたくしめは、ひきこもり当事者ですが、当事者を代表してるわけではないし、典型的なひきこもりみたいな感じでもおそらくありません。
また、ひきこもりの理由はひとによって様々なので、なにを求めてらっしゃるかは一概には言えないと思います。
という前置きしつつ(心の中で)、アホアホわたくしめ、無礼を承知で、一般的にこんなことが言えそうと申し上げました。

  • よく知らないが怖い
  • 前に支援機関にいって嫌な思いをした
    (以前は今と違って対応が厳しめで、相談窓口も少なかった)
  • いま、そういうタイミングじゃない
  • 支援とか、ちょっと違うんだよな
  • 言ってみれば自分のせいでこうなっている、助けてなんて言えない
  • 自分で何とかしたいというプライドがある
  • 長くひきこもっていると、もはや何を相談したらいいのか分からなくなってくる
  • 登録とかよりも、知りたいことを教えてくれるだけでいいのに
  • LINEで質問できればいいのに
  • 自分でも思いつくようなショボイ提案しかなさそう←言いそびれました

なかなか相談しづらい支援施設

支援施設がイマイチ利用されてないんじゃないかという問題は、わたくしめもそうなんだろうなと思っています。

ひきこもりは、2022年(令和4年)の内閣府の調査によると全国で146万人。
これは家からまったく出れないような方と、そこまでではない広義のひきこもりも含みますが、実際にはもっといると言われています。

厚生労働省は、全国に「ひきこもり地域支援センター」という相談施設を都道府県や人口の多い街に1か所ずつ作っています。
例えば、奈良市でいうと、市役所にある「リスなら」がそれにあたります。
わたくしめは登録相談員としてのお役目をいただいております。
奈良県でいうと「奈良県ひきこもり相談窓口」で、これは「本人のつどい オンライン」の主催者です。
では、全国あわせてどれだけの相談があるのか?
当人と会って話をするだけでなく、電話やメールやSNSを使った相談も、親からの相談も、おそらくたった1回の相談もぜんぶ含めて、2022年(令和4年)度で3万5千人足らずです。
ここには、その他の相談施設である、「サポステ」「ハローワーク」「コネクションズおおさか」さんも、その他公的な施設や、公的に準ずる施設は入っていないので、それらも含めればこの10倍ぐらいの相談件数はあるのかもしれません。
ただ、生活保護の捕捉率(利用者率)が2割に過ぎず少な過ぎると言われているのと比較すると、こっちはただ相談するだけにも関わらず10倍にしても24%です。
そこから、何かを始められたり、支えてもらったりしているひとは、その何分の1、もしかすると10分の1以下かもしれません。
そうとう少ないように思います。

いわゆるガチひきこもっている方が相談されたり、支援施設からアプローチされるのはとても難しいことです。
しかし、人数としては、それほどでもないが、働けず、社会参加できず、孤立しているひきこもりのほうが多く、このデータからすると、そちら側とのやりとりもあまりなされていないようです。
おそらく、ニーズに合ってなかったり、利用しづらい面があるということだと思います。

自助会だって、そんなに利用されてない

と、エラソウなことを言っているBreakの世話人ですが、Breakはどうかというと、ぜんぜんです。
対面の集まりですと10人前後~25人ぐらいお集りいただき、現在のBreakの許容度や開催場所からすると程よいと言えます(女性が少ないものの)。
こうすれば、もっと来ていただけるという余地があるものの、それに対応できる態勢ではないため、積極的にPRすることを控えています。
では、態勢を作れて、PRできたとして、1か月にのべ1,000人もお集りいただけるかというと、それはかなりの目標です。

1,000人なんて、146万人に対して0.1%にも満たないにも関わらず。
それだけ1か月に集まっている自助会は、おそらくありません。
もし、あるとすれば「一般社団法人 ひきこもりUX会議」さんと、当事者ではなく家族主体の自助会である「NPO法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会」さん(Breakがその奈良支部とともに活動している)の、二つだけです。

Breakは、この1年を通して、対面とオンラインの集まりを合わせ、さらに別団体とのコラボレーションも含めると、おそらくだいたい月に200人を越えています(常設のLINEやDiscordを除くイベントのみ)。
しかし、1,000人なんて遥か先です。
この大したことがない参加者数でも、ひきこもりの自助会としては全国的にみて上位だと思います。
ひきこもりの自助会は、大都市でもそんなに色々あるわけではなく、オンラインの集まりを含めても相対的にみれば規模が小さいのではないかと。
つまり、業界全体としてみれば、分母の大きさに比べてそんなに集まっていただけていないというのが現状ではと思っております。

※沢山、お集りいただけているかどうかは、個々のご参加者にとっては、どうでもいいことかもしれません。そんなにいない方が行きやすいというお声もいただきます。大事なことは、その方にとって居心地がよいかどうかです。ただ、それはまた別の視点ということで、ここでは規模の話をさせていただきました。

こんな風にお話させていただきました

プレゼンは15分だけ、たっぷり質疑応答

私が話したいことではなく、皆さまがききたいことをお話できればと思います。

自己紹介、Breakについて、本題の3つを5分ずつ、計15分で済ませます。
あとの1時間以上は質疑応答です。

ざっくばらんにご質問ください。
なるだけ飾らずお答えします。
とはいえ、ご参加者について具体的なことは申し上げられませんのでご理解ください。

と、いいながら、22分ぐらい喋ってしまいました。
タイマーを見ながらしゃべったにも関わらず。
なんてこった💦

というのは、このような考えに基づいて

スライドは情報を詰めすぎない。
スライドを資料として書き混んでも、皆さま忙しいのでわざわざ見返すひとはほとんどいらっしゃらないと想定。
その場で印象だけ伝わればいい。
ひとが継続して集中できる時間は15分ぐらいなので、なるだけその時間内で。
途中で、息抜きになるような笑いを。
口頭の説明も、足りないぐらいがちょうどいい。
 ↓
結果:全体として、難しくなかった、ちょっと物足りないのでもっと聴きたいなという感じになれば質疑応答が活発になりやすい。

コネクションズおおさかさんに、遊びに行きます!(仮)

今回、お声がけいただいた職員さんとは、「一般社団法人 ひきこもりUX会議」さんで、わたくしめが講演(とか自分で言うのは誠におこがましいのですが)させていただいたときに、笑いをとろうとして飛ばしすぎて会場を凍らせてしまった大失敗以来、コーヒーのドリップ講座にお誘いいただいたり、「NPO法人 ダイバーシティーサッカー協会」さんでフットサルを一緒にやらせていただいたりで、飛びとびで3年ぐらいのお付き合いなのですが、そちらに見学に行ったことがありません。

思い起こせば、わたくしめ、15年ぐらい前に、大阪市のサポステにお世話になったのですが、そのときに、なぜこちらではなく、サポステにしたのか?
存在していなかったのか、、ウ~ム、思い出せないのですが。
いづれにせよ、行ったことがありません。

そこで、この機にちょっくら見せていただこうと思いつきました。
Breakの企画にして。
ちなみに、わたくしめは、39歳という年齢制限にどうしたってひっかかるので、ホントに社会見学のつもりです。

ボードゲームやカードゲームをする日があるのでどうでしょうとご提案あり。
いずれにせよ、ご検討いただけるとのことですので、出来ればそう遠くない日に告知し、関心を寄せていただいた皆さまとご一緒したいと思います。

場所は、梅田の大阪駅前第2ビルの4階。
同じビルに、Breakが以前ときどき部屋を借りていた「大阪市立総合生涯学習センター」や、利用者が府内一多い「ハローワーク」があります。

あくまで関心、興味のあるかた向けですが、こういうツアーを組むのはBreakの役割のひとつと思っております。

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