(written by あゆあゆ)
金曜の夜だけに弛緩した空気が車内にも漂う
はだけたワイシャツに缶チューハイ
ひび割れたスマホでゲームに勤しむ学生
赤ペン片手に競馬予想に忙しい御年配
市内へ入ると車内の空気が一気に華やぐ
扉が開くたびに新しい風が入ってくる
コンサート帰りと思しき、タオルを巻いた一団
テーマパークのグッズに彩られた家族連れ
ターミナル駅に電車が滑り込む
ないまぜの空気が一気にホームへと吐き出されていく
開放感を味わうと共に少しばかりの寂寥感を感じる
しばしの停車時間、ふと窓越しの向いホームに目をやる
0時近くにも関わらず、あまたの乗客が列をなす
けたたましいアナウンスと共に列車が駅を後にする
同時に0時発の姫路行き新快速が滑り込んで行った
あの人たちの帰宅は何時になるのだろう?
車窓から、流れる景色をぼんやりと眺める
雑居ビルの居酒屋で談笑するサラリーマン
この人たちは終電に間に合うのだろうか?
終着駅の改札をくぐり、いまだ混沌とした歓楽街へ
水商売の呼び込みをかわしつつ歩を急がせる
店員の閉店作業を尻目にゲームに没頭する諸々
この人たちはいつから此処に居座っているのだろうか?
ふと、前から化粧の濃いなまめかしい女性が歩いてきた
すれ違いざま強烈な香水の香りが鼻をつく
この人は何時まで働くのだろうか?
帰宅後シャワーを浴びてさっぱりし、照明を落とす
薄暗い部屋から、そびえ立つ高層マンションを見やる
時刻は日付をまたぎ深夜1時
最上階のとある一室が煌々と輝く
あそこの住人は普段、何をしている人だろう?
丑三つ時の夜中3時に睡眠薬が効いてようやく眠くなる
明日、どこへ行こう?
このコラムは、あゆあゆさんよりご寄稿いただきました。
面白そう、書いてみたいと思われたかたは世話人に気軽にお声かけ下さい。Breakの集まりいずれかに、2回以上いらしたかた対象です。(詳細)