(written by あゆあゆ)
大阪と京都の中間に位置する中核都市に18歳まで暮らしていた。この前、25年ぶりにかつての我が家を訪れてみた。私には残酷なイジメや熾烈な虐待等の経験はない為、懐かしの町を訪ねることに強烈な嫌悪感はない。ただ、いくばくかの哀愁を感じさせた。
表札が変わり、リフォームされた「他人の家」をしばし眺める。周辺も歩いてみた。かつて通った小学校、遊んだ公園、今は無き本屋にスーパー。色々なことがあったその町で思いに耽る。そして後悔の念に駆られた。どこで選択肢を間違えたのだろうか?と。
初めて自転車を補助輪無しで乗れるようになった瞬間を鮮明に覚えている。4歳ぐらいか。その時点では何の問題も孕まない健やかな少年だったはずだ。その後、厳しい幼稚園がイヤで親に転園をねだった(ようだ。覚えていない)。そのあたりから極端に内向的になる。半端な時期での小学校転入とイジメ(登校拒否はしなかった、なぜか)で暗雲が立ち込める。
人格の形成に失敗し、その後の人生の各所に立ち現れる「選択肢」をことごとく誤ったと自己分析して「いた」。だが近年、前者は概ね的を射ているとしても、後者は誤りではないかと考えるようになった。どんな選択肢を選ぼうとも結局、今の自分になったのではないか、と。公立の中学に入ろうとも、クラブに入ろうとも、大学で彼女をつくろうとも、別の就職先に入ろうとも。如何なる選択をしようとも分岐しないシナリオ。つまらないシナリオに拙いCGに下手なBGM、加えてバッドエンドしか用意されていない。それはもう「ゲーム」の体を成していない。「クソゲー」どころではない。結局、ライターなりデザイナーなりコンポーザーなりがイカれていたに違いない。それが「神」なのか「仏」なのか「宇宙の大いなる意志(思?)」とやらなのかは知らない。ただせめて、レビューで⭐️3つ付くぐらいの人生ゲームをプレイしたかった。
✳︎注「フラグ」〜漫画、ゲーム、アニメなどで、特定の展開や状況を引き出すためのキーとなる言動。「恋愛フラグ」「死亡フラグ」など。学校に忘れ物をしたことに夜、気付いて「校舎に忍び込む」←月光に照らされた美少女登場。『へへ、こんなモンスターがウヨウヨいる糞ったれな島にいつまでも居られっかよぉ、ボンクラ共がぁwww俺はさっさとオサラバさせてもらうぜぇ…」←死亡確定
このコラムは、あゆあゆさんよりご寄稿いただきました。
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